宇宙線ミュー粒子レートモニタ

今この瞬間にも,これを読んでいるあなたの体を毎秒数十個のミュー粒子 が通り抜けています。 ミュー粒子は,電子に似た性質を持つ非常に小さな粒子で,宇宙から降り注ぐ高エネルギーの宇宙線が 上空の大気分子と衝突することで発生し,大気中で生成された中間子が崩壊することによって生まれます。

ミュー粒子は高い透過力を持っており,大気や建物をすり抜けて地表にまで届きます。 この地表に到達するミュー粒子の数は,おおむね一定ですが,上空の気温や気圧, 太陽活動による磁場の変化など,さまざまな環境要因によってわずかに変動することが知られています

私たちは,こうした変動を長期間にわたって観測できる安価で安定したシステムを構築し,得られたデータを一般に公開しています。 また,ミュー粒子数の変動に関してこれまでに知られていない未知の要因の探索も視野に入れ, 継続的な観測と解析を行っています。

図:ミュー粒子モニター全体像

図:ミュー粒子モニターのDAQシステム

図:ミュー粒子信号analog-to-logic変換器

ミュー粒子数の時間変化の例 T250401

図:観測されたミュー粒子計数率の時間変化の一例 (2025-04-01 12:34:03 ~ 2025-04-10 11:03:53)
わずかですが,一日周期の計数率変化が確認できます。 気象庁のページ から持ってきたつくば市の気温,現地気圧のデータを一緒に表示してみると 地表の気温と計数率はおよそ逆相関になっていることが分かります。 このプロットでは分かりずらいですが,現地気圧とも逆相関の関係があるようです。

※本プロジェクトは、予告なくモニター仕様変更,中断または停止される場合があります。

以下のリンクから各種情報にアクセスできます。


本プロジェクトは, 「宇宙線ミュー粒子の地表計数率のモニタリング」として 2024年度に筑波大学社会工学コモンズ データバンク・プロジェクトからの 支援を受けています。
本プロジェクトで公開しているデータおよび図表は、 クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 (CC BY 4.0) ライセンスのもとで提供されています。
出典を明記すれば、営利・非営利を問わず自由に二次利用・再配布が可能です。